『ぼくたちにもうモノは必要ない。』この本は人生における最良のプレゼンだった。
『ぼくたちにもうモノは必要ない。』を遅ればせながらようやく読みました。
読んで驚いた。
ミニマリストについてだけではなく、これは人生についての本だったから。
唐突ですが、私は今現在目標があります。
それは
『幸せを感じる瞬間をもっと増やす事』
なんですが、おそらくそれは誰もが思っている事であると思います。
そんな途方もない人生の目標に向かっての方向性をなぜか教えてくれた気がする今回の本、
『ぼくたちにもうモノは必要ない。』
せっかくなので色々思った所を書いていこうと思って。
「内面をモノで伝える」
たとえば服。
ロックなファッションは型にはまらない感性を、ナチュラルなファッションは、優しく穏やかな人柄を、モードなファッションは類まれなセンスを、カジュアルなファッションは親しみやすさを伝えてくれる。ファッションに無頓着でも、ファッションなんかにはこだわらない、という「自分の価値」を手っ取り早く伝えられる。
ということが書いてあった。
これは多くの人が服装などによって「私はこういう人だ」といったアピールに使っている手段。
要はモノで内面をわかりやすく可視化している。
これには納得した。
だけどここまでは単に「私は○○な人だ」というわかりやすく内面をモノでわかりやすくアピールしただけ。
問題は次。
自分とイコールになったモノ
モノを「自分の価値」を伝える手段にしていると、モノはどんどん増えていく。増えれば増えるほど「自分の価値」が伝わりやすくなるのだから当然だ。
しかし、増えたモノは次第に「自分の価値」を伝える手段ですらなくなってしまう。
「自分の価値」を伝えるという手段ではなく「自分の価値」という目的そのものにモノがなってしまう。
つまり「モノ」が「自分」になる。
「モノ」を「自分自身」だと勘違いしてしまうようになる。
モノが自分だと思い込めば、さらにモノは増えていくだろう。
とあった。
どきっとした。
実は私は二十歳位の頃、完全に買い物依存症だった。
周りは皆お洒落で、お洒落ではない子はそこにいる価値がないような扱いをされる。
美しい服をまとった人が正義である世界。そして美しい者が何よりも正しい世界だった。
容姿も平凡で、お洒落でもなかった私はそんな扱いを受けぬよう必死に着飾っていたし、友人と関わったり・思い出をつくることにお金を使う事は無駄であると考えていてお金はすべて服に注ぎ込んだ。
そのうちに服自体が私だと思うようになっていた。
服が人生の主役だった。
綺麗な服を着て褒められると私自身も認められたように感じられて「もっと綺麗な服を、もっと周りに認められる服を」と思うようになり、どんどん服は増えていった。
だけど同時に虚無感もどんどん増えていった。
そして何より私の人生はとてもつまらなかった。
服にお金をつぎ込み周りとの関わりを疎かにしていたため、当然友達もいなくてそれが更に人生をつまらないものにしていった。
「服を手に入れれば…綺麗に着飾れば…周りに認められれば…そうすれば幸せを感じられると思っていたのに。」
なぜかはその時はわからなかったけれど頼りだった「服」でさえ、手に入れた瞬間からは私を全く楽しませてはくれなかった。
「慣れ」という毒
答えは誰にでもわかる。
ぼくたちは叶った願いに次第に『慣れ』たのだ。
「慣れ」はだんだん「当たり前」のものに、最終的には「飽き」てしまったのだ。
先程まで欲しくて欲しくてたまらなかったものですら、手に入れたらあっという間に「ただの私のモノ」になり下がる。
以前から欲しいモノが手に入った時の幸福感があっという間にどこかへ消え去ってしまうのはなんでなんだろう?と思ってた。
今になって答えを教えてもらえた。
単純に慣れて、飽きたからだった。
手に入れても次から次へと違うものが欲しくなる。そして手に入れたら飽きてしまい、そのあとはモノの管理に時間を費やすことになる。
そうして常にモノに振り回され続ける。
そんなモノが主役の人生は嫌だ。
そうはっきりと思わせてくれた。
そして常に痛いところを突いてくるので、買い物依存症になった事のある人には読んでみてほしい。油断するとモノに支配されてしまう人にも。
ちなみに読み進んでいくと【「慣れ」に対抗できる唯一の方法】が知れる。
(是非実際に読んで確認しよう!)
「持ってる天下一武道会」「持ってない天下一武道会」
持っている天下一武道会。
「こんなすごいモノを持っているんだ!すごいだろ!」
持っていない天下一武道会。
「こんなにモノを持っていないんだ!すごいだろ!」
この本を読んで必死に「持っている天下一武道会」に参加しようとしていた自分に気付いた。
そして「持っている・持っていない」どちらもある意味「モノ」が主役の人生という意味では似てると思った。
手放し方を教えてくれる
この本は当然ミニマリスト的な本でもあるので、モノの手放し方を教えてくれる。
今すごく気に入っているのは「捨てられるか悩んだ時点で捨てられる」と「本当に必要なモノは必ず帰ってくる」の部分。
私は捨ててしまったらもう手に入らないのではないか…と考えていたのだけれど、よく考えると何が何でも手に入らないものはほとんどない。
そして悩んだ時点でそれは手放せる。
お金を捨てることを悩む人がいないように、大事なモノはそんなことをまず考えないから。というわけで一度手放してみようと決めたものが沢山ある。
もし手放して困ったらまた手に入れる。
困らなかったら本当に必要なかったということだなと今は素直にそう思える。
完璧なプレゼン。あくまで人生における1つの手段としてのミニマリスト。
この本の一番好きなところは印象が
「完璧なプレゼンである」
ところ。
あくまでひとつの提案なんです。
以前みたことのある「ほら捨てろ!さっさと捨てろ!んなもん要らん!」といったような頬をうりうりされるような反発したくなる圧力をかけてくるような本ではなくて。
「人がモノを欲しくなる理由は○○で、
だけどモノを手に入れても○○だからすぐに飽きてしまうし、
やたらモノを持っていると○○だ。
でも例えばミニマリストなら○○や○○ができる。
だからミニマリストになってみませんか?」
というお誘いのようなプレゼンだと感じました。
そしてこのプレゼンに私はのってみたい!と思わされたし、きっと新たにこの本を手に入れる人は「こういう生き方もありだなぁ」と思えると思う。
既にミニマリストの方は「答え合わせ」を、これからミニマリストになりたい・興味があるという方は「最高のプレゼン」を体験してみましょう。
というわけで是非読んでいない人は読んでみてください。
1080円は安いと思いますよ!
ぼくたちに、もうモノは必要ない。 - 断捨離からミニマリストへ -
- 作者: 佐々木典士
- 出版社/メーカー: ワニブックス
- 発売日: 2015/06/12
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